ゲーム・『FF7リバース』をクリアしました。
プレイ時間は119時間。今はもう、ただただ「一周に100時間以上かかったゲームを、途中でだれることも飽きることもなく失速もせずに走り続けてゴールした作品はこれが初めて」、これに尽きます。他のRPGを遊んでいた際のプレイ記録を見てみたら大体30時間いかないくらいでエンディングまで終わらせているので、一般的なRPGの4作分はずーっと走り続けていたというのだ。ああ、NKT……
改めて述べておくと、筆者はマップの探索やサブイベント、ミニゲームなどを極力回りきったからそこまで時間を費やしちゃったので、まっすぐに進みたい方はそこまでの時間はとられないはずです。多分。
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◆ 最終盤の内容について
ラストについては、来たる展開に “らしい” 過剰な装飾がなされていたな、という感想。どんどん精神状態が壊れていくクラウドとそれを見ている仲間の図がキツかったな……。
……筆者はいわゆる “野村・野島FF” と呼ばれるFF作品に対して、長らく「壮大な世界事変に対して主人公とラスボスとヒロインの3人くらいだけで盛り上がっている感が強い作品群」という印象を結構持っていました。まあ、良くも悪くも「狭く深くの人物描写」で引き込んでいく印象が強いと。他ならぬ原作FF7の終盤がまず「世界の命運なんて使命よりも、個人個人が何のために戦っているのかを考えよう」という展開ですしね。
なので今作もそういう作品なのだろうというつもりで蓋を開けたら、ところがどっこいそこは「旅先の一つ一つや出会う一人一人が生き生きと描かれた、めちゃくちゃ “外に向かっていく作品” じゃないか!」というのが前回までの感想でした。それはもう、「FINAL FANTASYの総決算」とも呼べうるくらいの広大なFFワールドが展開されていた。
しかしやはり今作はあの忘らるる都で終わるFF7リメイク。来たる終局に向けて世界(=クラウドの意識)はどんどん閉塞し歪曲していく。一方の見方からすればクラウドやそれを支えるティファの混乱や悲壮が克明に伝わる、別の見方をすれば「なんかいきなりクラウドが勝手なことし始めたな」と思いながら眺めていることになる展開。まああそこで終わらせるということは原作上でもそういうことですしね。
ああ、「創作におけるマルチバースやら世界線やらって、無限の可能性のように言われるけど実際には酷く狭い世界なんだなあ。登場人物が少なくないとそんな究極的な大風呂敷はとても畳みきれないんだから」ということも改めて思ったりもしました (笑)。
さておき、物語は続くということで。
◆ まとめ
ラストこそ絶対的な悲劇で終わったものの、この作品を振り返るならばやはり出てくる感想は「この旅は最高に楽しかった……」。
単刀直入に書くならば、「古代種の神殿まで(※プレイ120時間中の110時間くらい)は “最高に理想的なFF” だった。最後の10時間くらいは “いつものFF” だった」というのが筆者の正直〜な感想。そのくらい最終局面までの旅路が楽しすぎた。
と、ここまで書いてようやく書こう書こうと思っていた部分に至るのですが。このゲームをプレイした人達の感想って多分大きく2つに分かれたんじゃないかなと筆者は思ったりしています。いわば、「道中のあれこれに付き合わずまっすぐにシナリオ本筋を見たい人」と、「サブイベントだのミニゲームだのまでじっくり堪能したい人」「ゲーム内を遊んでまわりたい人」。筆者はもろに後者です。
ミニゲームの多さは上等だとキッチリ遊びまわり、MAIが長々と喋るモンスターの生態話を興味ありますと聞きまくり、「ギ族」の設定深化に唸りパレードを完全クリアまでやり直し続けマップの空白をギリギリまで埋めマインドフレイアの登場に興奮する。「ああ、このゲームはFF7中盤を下地にしたFFのテーマパークなんだ」という理解で遊びまわっていました。
まさにこのゲームが放っていたのは「今やれうる最高出力のFFをここに詰め込んでやる」と言わんばかりの内容であり、それ故に筆者は「もう今度こそここまで詰め込めた大作FFは二度とないかもしれない」という杞憂も覚えるほどでした。
「しかしそれは果たしてFF7のリメイクでやることだったか?」という意見ももしかしたらあるかもしれない。筆者自身も最初、「これを完全新作でやれなかったか?」とすら少し思ったりもしました。だがやはり、こんな作品は「FF7をもう一度やる」という合言葉がなければ実現しなかっただろう。
単に『原作FF7』という周知のベースがあるだけでなく、原作の構成要素、あのゲームが広げた大風呂敷、当時的にも大勝負だったFF7が目指したFFの形、RPGの形。それらを徹底的に尊重し昇華していくことで初めて2024年の新作としてこれが出来たのではないか。ゲーム内に別ゲー展覧遊園地を置いてるゲームなんか現代の完全新作でやるわけないだろ!
『これぞ王道RPG!』などという手前味噌なキャッチコピーはいろんな場所で記憶に残らないほど見てきたが、ここまで「あの頃自分達が遊んだFFの現代版」を体感した作品はなかった。一方でそれは懐古作品と呼ぶにはあまりにバトルデザインからキャラクター描写まで現代に燦然と立つほどアップデートされきっていたわけだが。
もう少しだけ書くと、筆者は移動に時間がかかったり間が長いゲームって基本的に好きじゃないというか早くに飽きてしまうんです。が、このFF7リバースもまた明らかに間の長い作品だったはずなのに最後まで飽きることはなかった。それは何故かということをもう少し考えてみたいところですが……。少なくとも、「今日の2時間で街の探索くらいしか出来なくても、次の2時間できっと想定外の何かが来るぞ」というモチベーションが最後まで続いたゲームだったと思います。そこに作り込みの妙があったのかなと。
まあ、あまり言われないかもしれないけれどFF7ってまずそもそもの世界観が何でも出てくるごった煮ファンタジーなんですよね。同時代の『サガフロンティア』を近しい作品の例に出せば何となく伝わるかもしれませんが。それをキッチリ再構築していったらまあ極彩色でボリューム満点になるよね、とも。
……筆者は以前、『サガシリーズ』への愛念を文章にしたことがあるのですが、その時にたしか自分は「ずっと『何で?』って言っていられるゲームをやっていたい。『分かる〜』とか『オタク好みなやつ〜』とか言って分かった顔をして畳みたくない」と書いていました。FF7リバースを遊んでいる時、筆者は何回も「何で???」って言っていました。そういうことなんでしょう。
そして、そんな楽しかった旅路をラストで悲劇に上塗りされてしまったきらいもあるからこそ、真のフィナーレとなるであろう次回作への期待を寄せたいものです。ぜひとも今作を超えていってほしい。
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ここからはおまけ代わりな細かいまとめを
★ 楽しかったミニゲームTOP10
怒涛のミニゲーム地獄を結構エンジョイしていた者として、特に楽しかったミニゲームをここに挙げておきたい。筍抜きはゲームとしてどうっていうよりかなんか怖くなりました。
10位 フラッグフラップ
まさかのカエルでフォールガイズ。「な、何故これを……?」度数で言えば上の方に入りそう。多分友達と一緒にプレイしてたらゲラゲラ笑いながらずっとやるやつだと思う。
9位 モーグリ・キャッチ
みんなのウザがられポイント。ここだけキングダムハーツ感ある。マップにまで表示されるからめんどいなあという気持ちが湧いてくるのだが、やってる最中はまあまあ楽しかった気もする。キモいモーグリの煽りダンスがポイント。
8位 チョコボで発掘
一応ミニゲーム寄りかなと。FF9を思い出した人は私だけじゃない……つーかやったことある人なら全員思うか。一回でいいからチョコボでの探索一本に丸々全振りした作品というのもやってみたい気がする。
7位 ピアノ演奏
ノーツ分かりづらいなーと思いつつも、繋げていくごとにメトロノームの音が消えてピアノの伴奏に切り替わる仕様が結構楽しかった。あとやっぱり、曲が良すぎるし。
6位 チョコボレース
コースの嫌がらせ感が高くなったチョコボレーシング。要は最初のチョコボ選びがキーなんだけどやり直しのローディングがくっそ長かったのが最大の欠点。BGMが地味に豊富。
5位 フープ・デ・チョコボ
最初に第3コースに入った時「ムズすぎない?」って1時間くらいやり直しまくったけど、飛翔の仕方を憶えればなるほどとなったゲーム。暇だったらずっとチャレンジしてたと思う。ただステージ全体像はもうちょっと分かりやすくしてほしかった。
4位 クイーンズ・ブラッド
まあこれはこの辺でしょうと。ラスボス以外の相手はそこまでプレイに個性を感じなかったのがネック……いやそこまで作り込まれてたらいよいよ不満が多かったかなあ (笑)。
3位 ドルフィンスプリント
イルカのタイムアタック。うーん爽快感って正義だ。トロピカルなBGMもGOOD。
2位 ガンビットギアーズ
筆者とSNSで見る評価に随分開きがある気がするやつ (笑)。まあむしろこれを主体にした別のゲームを一本やりたいなとも思いました。
こっちの方が原作コンドルフォートに近いような気もしたし、ATBの原点に帰っているような気もする。
1位 Gバイク
原作でもずっとやっていたバイクチェイス。血流から少年時代の私が帰ってくる。
今更ながら調べてみたらどうやらスコア獲得の正攻法は「基本はスピードを落としておいて、敵が出たら加速して斬り伏せる」だそうですが、筆者はスコアラーでもないしそんなことはしません。全速力で斬り飛ばして気持ちよくなるだけです。
★ 好きなサブキャラクター10選
印象的なキャラが一挙に出たなーと思ったので。メインキャラや神羅のイツメン組は除外、上の人も定番なのでここでは挙げません。
① MAI
モンスター解説担当。いつまでも「ずっと喋っていてウザい」という声も絶えないが、筆者はモンスターの生態だの世界観だのを見聞きしているのが好きなタイプなのでわりとずっと真面目に聞いていました。むしろMAIがいなかったらモブモンスター狩りは非常に無味乾燥になっていたんじゃないかとも思う。それで、MAIとゴールドソーサーに行けるようになるアプデはいつです?
② ブロード
カームの宿屋の主で、神羅に捕まりそうなクラウド達を庇って逃げ出させてくれた人。好感を持てながらも意味深なイケオジさんだったが、終盤に強いインパクトを放って再登場していった……
③ 指揮官
心から、I for you...
終盤に指名手配犯でも黙認してくれた彼女たちの行いは、(そもそも神羅が生んだモンスターが暴れていたという負い目と、)潜入先で一生懸命パレードに懸けた絆と、元を言えばクラウドの暴走する神羅兵魂の賜物だったのだろう。
④ ダイン
サブキャラクターと呼んでいいのか? という位置ですらある。筆者にとってはこの男なくしてFF7中盤のリメイクはなかった、この男の描写にFF7リバースの合格ラインがかかっていた(エアリスのシーンはまあ、全力を懸けることは分かりきっていたし)。
まあこうして改めて振り返ってみると、コンピ関連で「まるでFF7にはミッドガルと神羅関係者しか存在しなかったかのようだ」と思わされた年月が遠い昔のようですよ。
⑤ シスネ
そのコンピ作品からまさかの逆輸入されてきた彼女。彼女はここに入ってイリーナは省くというのもおかしな話かもしれないが……(まあここまでの日記で十分にイリーナ出したし)
ゴンガガにいるというのも胸が熱くなるものがあったが、そのゴンガガエリアで「裏切ったタークスの末路」という内部テストがあったのは……まあ会社の上役にもっとゴリゴリの裏切り者がいるんだけどね。
⑥ レジー
カードゲームにおける主要キャラ。心の闇につけ込まれてとらわれる様はまさに児童向けホビーアニメ。
⑦ サム
前作でもウォールマーケットで助けてくれたチョコボ業の人。今回は牧場のグリングリンとの確執とドラマを垣間見ることができる。語られぬ悲劇を黙って背負う渋いオジサンだが、表裏一体のコインということで双子の兄弟がいるのかは全く語られていない。
⑧ ソノン
直接の登場はないのでまさかのアルティマニアから直撮り(普通にユフィ編のスクショも残ってるんだけども、折角だし)。一応生死不明っぽいと思っていたけど「命を落とす。」って書いてありますね……。
ユフィ編をやっていなかったユーザーは今作のユフィのキャラ立ちに色々と面食らったのではなかろうか。ほぼ原作とは別の人生を歩んでいるとも言っていいくらいに、あの追加シナリオが彼女に残した痕は深かったし、ユフィはずっと逞しくなった。そして、ソノンがあのままで終わるとはどうも思えずにいるのだ。
⑨ 神羅課長
どうしちまったんだよ課長……いや元々どうかしちまう人だったか。世界の命運が大変でも、危うい企業に勤めていても、会社員には今日と明日が一大事なんやで(ケット・シー語る)。
唐突な話──「冒険の対義語は母」という言葉があるが、その冒険漫画で描かれた母の言葉と言えば ドラゴンボールのチチの「地球の危機なんかより、悟飯ちゃんの勉強の方が大事だべ!」だよなあと最近思い出していた。チチの言葉の意を思うと課長の表情も眩しく見えた気がした。鳥山明先生に寄せて。
⑩ チャドリー
『チャドリーを好きになるかずっとウゼぇなと思っているかでFF7リバースの評価は分かれる』、100理ある。そのくらいサブイベントの殆どを統括する存在になった少年。いや前作の時はシステム上のサポートアイコンくらいにしか思わなかったのに随分輪郭を帯びたものだ。
筆者としては何ならいくらかのメインキャラよりもチャドリー&MAIと一緒に歩んだ冒険だったという感覚の方が強かったりもする。それくらいには愛着が沸いてしまった。なんだかんだ言って「おとなしそうな少年の主体的な冒険劇」ってずっとツボかもなー(FFだと……ラーサー皇子くらいしか思い浮かばないけど)。
そして迫る宝条博士の影……リメイク3作目は彼と宝条にかかっているのかもしれない。
◆ 気に入っているシナリオイベント10選
今見ると調子乗ってんなこの時
① パレード式典
「FF7リバース始まったな」となる瞬間。荒ぶり猛るクラウド隊長。めちゃくちゃ挨拶してくる隊員たち。技術の無駄遣いみたいなミニゲーム。そして終盤まで引き継がれるパレードの絆。一言では語りきれないリバースの輪郭が一重にここにあった。
② コレルの男達
FF7全体からすればほんのいちシナリオで、またスピンオフでも全く扱われない、しかしメインキャラであり反神羅の象徴・バレットを語るうえで決して外せないコレルのお話。でもやっぱり、「ダインというキャラが好きだから」が一番かなとも思う。
③ コスモキャニオンのキャンドル前後
それぞれの現在的な思いと、星を巡る時代の移り変わりを、そして原作からの進化を最も見せつけたとも言えるシーン。最も「FF7がそのままアップデートしました」と言えるイベントだったのではなかろうか。
④ ギ族の郷
まさかのでかい追加設定が施されたギ族たちのシーン。彼らは実際のところ救われようのない存在としか言いようもない気がするがどうなのだろう。いや、星がどうかなんて関係なく、本当は救われない魂なんてひとっつもないのかもしれない。すべては500年後のナナキの背中に。
⑤ アバランチ本家との再会と、それぞれの道
「バレットという男の現在の答え」が最も示されている……分かってたけどバレットばっかだな (笑)。単純にユフィ編でのアバランチ本家組の再登場回というのもいいですよね。
「それぞれの正義」という言葉は実に嘘くさいが、「それぞれの役目」というものは間違いなくあるのだろう。
⑥ ウータイとの戦争
ヘヴィな描写は意見が別れるが……と言っても元がFF7だしまあそのくらいあるかな、と言ったところか(いかにも陰謀めいてる辺りがまたらしい)。世界観を丁寧に綴るほどに避けては通れない描写なところもあると思う。
次回、このシリアス真っ只中な空気から変身した親父がステップを刻みながら現れるのかと思うとドキドキしますよ。
⑦ バレットと絵本作家のサブイベント
これもあんのかよ。マリンが好きな絵本の作家と出会ってちょっとお手伝いするという話。サブシナリオでは一番「上手い!」とか思っちゃったやつだと思う。ハイファンタジーで大規模なRPGでは中々ない見せ方かと。
⑧ 黒マントになっていく男たち
「これぞFF7」感ありますね。まさに世紀末的というか、アイコニックというか。時折フラッシュバック的に黒マントの男達の映像が映るシーンがまさに90年代末期のサイコサスペンスものっぽいんだよな。
⑨ クイーンズ・ブラッド物語
楽しかった。その一言に尽きる。完全に異物的なカードアニメ風ダークストーリーなんだけど、FF7っぽくないかと言われれば全然あってもおかしくないのがツボ。
⑩ 古代種の神殿での試練
それぞれが抱えている怒りの理由・その過去を追体験させられるというシーン。ここからしかし怒りに囚われてはいけないというエアリスの話へと繋がっていく。終盤も終盤でもありそれらのシーンが本当に消化されることは本作ではないのだが、必ずや次回作へと繋がっていくものだろう。
全体的に群像劇っぽいのが好きだなというのが──いやもう確実に根付いているよなとも思いますが、筆者が初めて「群像劇」というものに触れたのは間違いなくFF6だったりもします。
そんなところで。じゃあ最後に、なんだかんだで一番気に入っているスクショで締めます。
ちょっとFINAL FANTASYっぽい構図
本当にそういう構図なのかな? と思って後々もう一回寄ったらむしろこの角度だけがちょっとそれっぽかったという。
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では、明日からはサガエメをやっています。
あまり余計なこと言わなくても……と思ったけれどもやっぱり言っておきたい。「何の攻略情報も整っていない新作サガをやれるのは何の攻略情報も揃っていない時期だけ」です(そのくらいいつまでも未開の海を模索していくようなゲームシリーズなので)。楽しんでいきます。