2023.11.29 LUNA SEA 『MOTHER』『STYLE』 DUAL RELEASE

 

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聴いております。最高に浸っています。

 

 

 

発表当初は正直「昔の曲の再録をそんなに一生懸命やるのか?」という受け取りも自分の中であったんですけれど、蓋を開けてみれば改めて「LUNA SEAの音楽」を証明するような音像と、かつてとは印象を変えるような再構築、「ヴィジュアル系音楽のバイブル」と呼ばれた作品性が現在のチャートに顔を出すインパクトなど、驚かされるものがたくさんありました。

また同時に、発売に向かってのいくつかのインタビューなどを見ていると「これから先どれくらい(バンドを)できるんだろう」という思いの中で決断されたことや、「修正するために作り直したいという意識もまったくない。」「今現在の俺達の最大限のエネルギーを使って」(いずれも『BASS MAGAZINE VOL.361』のJのインタビューからの引用)という意識で向かわれたという話も聞き、なるほどと今作に挑んだ趣旨が掴めたような気がしました。「今の全力を発揮するために、またおなじみの名曲たちをむしろ過去作として扱わない為に、全面録り直しをした」とも言うような……。

そして何より、ここからまた新しいものを創作していくんだというエネルギーをこの2枚から感じとれたと思います。

 

 

 

 

 

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こう言ったらSLAVEの皆さんに怒られるかもしれませんが、94年の『MOTHER』はその音についてはある程度年月とともに弱く聴こえてしまう部分ができていたと自分は思っていて(それでも楽曲自身やLOVELESS『ROSIER』らの音構築は今なお完成的なのですが)、再録には十分に意義が見込める作品だろうと思っていました。

音の微細な美しさと厳かにも優しいダークさとエネルギッシュな解放感とが一度に飛んでくるような新生LOVELESS。西洋の古典映画のような渋みが宿ったGENESIS OF MIND ~夢の彼方へ~』。バンドの重量と分厚い雲のようなシューゲイザーサウンドによって完成形を見せたような『AURORA』

『FACE TO FACE』はまさしく新曲のようにニューアレンジされつつ美味しいところはちゃんと残っていて最高のテイクに。元々期待を寄せていた曲でしたが見事にその期待を超えてくれました。コーラスがより妖しい密教のようなムードを醸しだしていて素晴らしいです。

驚いたのが『IN FUTURE』で、勢い重視のナンバーだからこそ「絶対若い頃の方がいいだろう」と思っていたのに全然失速してない上に切れ味が増しているという驚異。

そして『FAKE』DUAL(二重)の意味で知らない曲ですね……。原曲は知っているという方は聴いてみたら驚くと思います (笑)。スタイリッシュポップチューンが遊び心に満ちたロック歌謡に、とでも言うか。こうして聴くと前作『EDEN』の流れをかなり汲んだ曲だったんだなと気づかされたり。

 

ラストの『MOTHER』はひたすらに感動的でした。持ち前の情景力と空間力に、現在のやや枯れたRYUICHIの歌声が時間の流れというものを体現していて、ちょっと言葉にできないです。今のRYUICHIの歌声とアルバムのテーマ的な部分が最も融合した曲になったんじゃないかと……。そういう意味で、このアルバム2作の象徴たるようなトラックになったんじゃないかと思います。

寂れた大地で見る夢のような楽曲MOTHERで終わる『MOTHER』と、END OF SORROWらに代表される現実に闘うLUNA SEAを見せられているような『STYLE』は、丁度『夢』と『現』の境い目にあるような2作だなとも思ったりします。そう思いながらその境い目にあたる楽曲MOTHERを聴くと、また気持ちが持っていかれるところもありますね。

 

 

 

 

 

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一方『STYLE』LUNA SEAでも屈指の愛盤なのでより構えて聴きましたが、熟成された『RA-SE-N』が聴けた時点でニッコリしていました。こちらの新生『STYLE』とも長い長い付き合いになりそうです。いろんな曲が溢れてはすり抜けていく時代だからこそ、「長い付き合いを確信する曲」に出会えるっていいですね、再録作ではありますが (笑)。『RA-SE-N』は終盤のギターソロもライヴ・テイクでおなじみのバージョンだったらより嬉しかったかな。『1999』も実験性が高かった原曲よりも完成的なグルーヴを感じました。

 

『FOREVER & EVER』という曲はバンドアンセムとも言うべき魂の大バラードなのですが、やはり凄く胸が熱くなります。“どうかどなたでも知っていてください。LUNA SEAというとても眩しいバンドがいたこと、今も走り続けていることを……” そんな言葉も込み上げてきてしまうような一曲。やはりJの直情性の上に成り立つソングライティングには心を震わされます。

バンドに物語を見ている──と言うと下世話に聞こえるかもしれませんが、私の中ではやはりバンドやミュージシャンの出す音楽作品は「娯楽作品」であると共に「生きた姿」とか「呼吸」であると思っていて。「呼吸」に触れているんだ、人の生きた姿を垣間見ているんだ、ということをどこか意識してしまうところがあります。特に、こういう曲ですからね。

そこを離れて敢えてLUNA SEA自身とは関係のないイメージをこの曲に挙げるなら(前にもあった流れだな? Déjàvuか?)、「灰色の大海原の前」「“死” と “孤独” に瀕している時に希う “生” や “熱”」のようなイメージ。とても本質的でドラマティックなところへ気持ちが引っ張られます。

 

アルバムの話に戻って私のお気に入りの『SELVES』という曲。原曲とは違うアプローチで様々な音と迫力を演出しています。原曲は深い残響でひたすら深海の底に沈んでいくような気分になれて大好きなのですが、再録版は「鉱物と生物の中間の生命体となり永遠に宇宙空間をさまようのだ。」という感じで (笑)。こちらも原曲に劣らない素晴らしさ。そしてアルバムのライナーノーツにも書いてありましたけど、このアルバムの終わりを司る最後の歌詞にガツンとやられました。

 

時代に刻まれた愛を  伝えたい 

いつまでも 

この熱を 

いつまでも

 

 

……「終幕ソングなのにREBOOTソング」こと『LOVE SONG』の歌詞といい、何故LUNA SEAの詩は未来を見越したかのように “現在のLUNA SEA” にまでリンクして再び現れるのでしょう。多分、一貫して真面目で全力なバンドと音楽家たちだからなのでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、この場を借りて少し恥ずかしい文章を書くので見たくもない方は伏せてくれていいのですが (笑) ──

 

 

 

こうしてまたLUNA SEAのアルバムを楽しんでいて、きっと私はずっとLUNA SEAに恋をしているんだろうな、と思いました。男ですが。

LUNA SEAの一挙一動に喜んじゃうし、新しい音楽を届けられたらずっと胸が高鳴ってそのことばかり考えている。やたら多弁になって見るからに元気になってしまう。挙動だけは恋する乙女のようです (笑)。まあ男が惚れる男というやつなのかなという面もありますし、「何でもかんでも喜ぶわけじゃないぞ」と意地を見せることもありますが (笑)。

 

恋なら、その感情は人に押しつけるものでも脅かされるものでもなくて。そして何より、そこにある限りの時間を大切に重ねていかなきゃいけないな、と思います。

 

こういう時に真矢みたいな人に雑な笑いをとって場を誤魔化してほしいので、バンドっていいですね (笑)。

 

 

2023年の終わりの前に寄せて.

 

 

 

 

 

追記、というか、一人でも多くの方の目に届いてほしいインタビュー記事

 

 

RYUICHIを心から敬愛しているし、彼が頑張っている1000分の1でも俺も頑張ろうって思えます。いっつも。